夜間中学校(市川市立大洲中学校)を訪問

1.夜間中学校とは

夜間中学校は公立のものと民間のものがあり、例えば船橋の自主夜間中学校は週1回2時間、有志のボランティアによって運営されています。今回は公立夜間中学校(以下、夜間中学校とします。)について取り上げます。

夜間中学校は、戦後の混乱の中で生活や家事に追われ通学できなかった人、体が不自由だったり長期療養のため学校に通い切れなかった人などを対象に、昭和26年、足立区立足立中に全国で初めて設置されました。

現在では、公立夜間中学校は現在17都道府県に44校あり、ニーズも変化してきています。

不登校などで中学校に通えず大人になってから学び直したいと通う人、外国ルーツや現在の学校が合わず不登校になっているお子さんなどのニーズです。

2.市川市立大洲中学校を訪問

夜間を担当する教頭先生から貴重な時間をいただき、現状説明をしていただきました。

昭和57年に当時の市川市長の強いリーダーシップのもと県内で初めて設置(卒業生431人)、近年では令和元年に松戸市、令和5年から千葉市でも設置されています。こうした中で県内でも歴史のある市川市立大洲中学校を視察訪問させていただきました。

16時半、あたりが夕闇に包まれる中で学校を訪れました。大洲中学校は夜間専用の昇降口があり、生徒はまず職員室を通って教室に入ります。

授業は17時25分~20時40分まで4限あり、国・数・英・社・理・音楽・体育・技術家庭・美術といった9教科を学びます。外国ルーツの生徒が多く、国語や英語についてはいわゆる習熟別のクラス編成をしています。

授業も拝見しましたが、社会科では地理や地図記号など実生活につながる教育をしたり、国語では習熟度の高い生徒向けに古文の読み合わせを行ったりしていました。授業では教科担任の先生以外にも非常勤講師の先生が複数名ついており、少人数できめ細やかな教育が行われていることが伺えました。とはいえ非常勤講師の先生達は退職した校長先生など、志の高い方々によって何とか支えられているということも感じました。

3.生徒たちの様子

在籍生徒は19人で、日本国籍は7人、外国籍は12人となっており、中でもアフガニスタンが9名と多い状況です。戦乱が続くアフガニスタンの中で学校が破壊され、学友が亡くなり、命からがら日本にいる親類を頼ってきたお話を聞くと、学校に通えるという事が当たり前で無い世界があるということをあらためて実感します。

19人の在籍者の居住地は、市川市7名、四街道市6名、船橋市2名、佐倉市2名などとなっており、市外の遠方から通う生徒も多くなっています。

学習意欲の高い生徒が多いとはいえ、課題としては、

  • 母国での教育環境によって学力差が大きいこと、発達的な課題を有する生徒、不登校経験者など多種多様な生徒が増えてきていることに対応する大変さがある
  • 文化や生活習慣が異なり、コロナ禍をはじめ保健指導・健康教育の充実に苦労している。
  • 卒業後の生徒の進路のための関係機関との連携

といった事があげられています。

歯磨きの習慣の無い国もあり健康教育の大変さを感じます。

4.船橋ではどうなのか。

大洲中学校には設立に熱心だった当日の高橋國雄市長の言葉が掲げられています。

当時の新聞記事を見せていただきましたが、開校そして、継続していくことは決して平坦な道のりでは無かったそうです。市長自らも夜間の出身であり、その熱意が千葉県初の設置という時代の先駆けとなる道を開き、今また周辺市での設置が進む中で、その先駆性が燦然と輝きを放ちます。

船橋市議会では本会議で過去3名の議員が夜間中学校について取り上げており、令和4年第3回定例会9月9日の部長答弁によると

教育を受ける機会を保障する上で、夜間中学校は大きな役割を果たしていると考えております。

夜間中学校の設置につきましては、文部科学省では、都道府県、指定都市に少なくとも1校の設置を推進しているところでございます。市教育委員会といたしましては、船橋市における夜間中学校のニーズや、県内他市の設置状況を踏まえ、国や県の動向を今後注視していきたいと考えております。

と回答しています。

今回の視察での知見を踏まえて、この1年間でどのような注視が行われてきたか、確認をしていきたいと思います。

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市川市議会副議長の土屋正順さんにも同行していただきました。

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この記事を書いた人

つまがり俊明

1977年6月生れ / 船橋市出身 三咲小→御滝中→鎌ヶ谷高校→明大→ベンチャー企業→総務省→神奈川県庁→松下政経塾→船橋市議会議員

~多様性を力に変えていく社会へ~ モットーは「着眼大局着手小局」