利用料金の多くを値上げ&職員給与は値上げと決定し今議会は閉会~17議案について時期尚早の意思表示~

本会議最終日は5人の委員長から、

  1. それぞれの委員会で議論されたこと
  2. 委員の賛否の状況

について報告があり、必要に応じて質疑を行います。
その上で、議員50人全員で予算や条例についての賛否を決めます。また会派が賛成で議員個人としては反対といった場合などにはその議員が退席という形で意思表示をする時もあります。

他の委員会の議論を見たり、会派の担当委員から状況を聞いていましたが、この委員長報告により全体像が見えてきます。
通常は一日で終わる総務委員会が2日間、文教委員会は7日間も開催されました。委員長報告も長いものとなり、本会議は午後にも及びました。

Ⅰ、私が思う今議会のメインの議案、論点は

1、議員や市長などのボーナスを値上げ【結果:当面据え置き】

議員や市長などのボーナスを5%引き上げるもので213万円の新たな支出増となるものでした。
これに対して最大会派から規定では5%まで引き上げるが令和2年12月まで例外的に据え置きにする。そしてその間に議員報酬やボーナスを上下させるときの議論の場を設けるという提案がなされました。
私はいずれも反対しました。修正案による据え置きは評価できる面もありますが、据え置き期間後の値上げの危惧がぬぐえないためです。

修正案が可決することで当面の値上げが回避され、市の執行部としては救われた面もあると思います。
市民負担は上げる、自分たちのボーナスを上げるでは額の多寡に関係なく市民に説明がつかないでしょう。
ノブリスオブリージュ(フランス語で、地位にある者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという道徳観。)といったら、かっこつけかもしれませんが、市政のリーダーたる政治関係者、職員幹部が姿勢を示すことがまず大事です。

2、船橋市役所職員の給与とボーナスを値上げ【結果:実施】

内容は、

  1. 「若手職員の給与の値上げ」大卒初任給を1,500円、高卒初任給を2,000円引き上げ。また30台半ばまでの職員給与を値上げ
  2. 「全職員のボーナスの5%引き上げ」

です。これらによって総額約1億6千万円の支出増となります。全会一致で可決とされました。

私も若手の給与値上げについては賛同できることがあります。
ですが利用料金の値上げによって市民に負担を求めることと同時にこういった議案が出されることは市民に説明がつかないと考えました。会派の賛成意見と異なりますので退席をさせていただきました。

3、公民館やスポーツ施設の利用料の多くを値上げ【結果:実施】

利用料の多くは上がるが下がるものもあります。結果として令和2年度5,000万円、令和5年度1.6億円のコストカットとなります。(職員給与増の1.6億円の支出と相殺ですね…)

担当する文化施設、スポーツ施設で審議不十分として継続審査を主張しました。ですが継続審査は否決されてしまいました。
料金改定には時期早尚として私は反対をしました。ですが賛成多数で可決成立してしまいました。
市長が提案した17もの議案に反対したのは私も初めてです。私自身公務員経験者ですので、条例や予算が出される前に多くの人や部署で揉まれ、チェックされてくる過程を知っています。

行政は変化や現場の実態の把握に弱い部分はありますが基本的にはそのプロセスに信頼を寄せています。
ですので、色々と厳しい意見や注文は付けても執行部提案のものは原則賛成してきました。それは関わっている職員の方へのリスペクトもあります。
ですが今回のものについては、あまりにも不十分であり、市民感情を逆なでするもので反対をせざるを得ないものでした。

4、台風をはじめとした災害対策【結果:今後の課題】

多くの議員が自由質問である一般質問において災害対策について取り上げ、多くのアイデアも提案していました。
このテーマは委員会でより専門的に調査、研究することがベターかと思います。会津若松市議会など議会改革の先進地域ではすでに仕組みとして取り入れられているものです。
議員個人が頑張るのはもちろんですが、それを議会全体の集合知としていくことがより市民のためになるのではないでしょうか。

Ⅱ、今議会のまとめ

執行部提案の条例に対して最大会派から修正案が出たり、利用料値上げに関して文教委員会が7日間集中審議をするなど異例尽くめの議会でした。
私もかつて議員ボーナスの値上げについて反対したことはありましたが、利用料金変更に関する17議案に反対とこれほど多くの執行部提案の議案に反対したのは初めてでした。

行財政改革という市民負担を求めるわりには市側の心構え、準備が不十分と言わざるを得ません。
文教委員会附帯決議でも全委員一致で市の説明責任が不十分であることを指摘しました。これは値上げ賛成の委員も含めて委員会の総意であることも重要です。

そして、市民負担を求める一方で職員、政治関係者のボーナスアップの提案がされるという、本当に船橋の財政に対する危機感はあるのか、理解に苦しむ状況があります。
今後、補助事業の削減など具体的な事業のコストカットの議論が始まります。必ず、まず内部改革はしたのか、増収の努力はしたのかという全庁横断的な議論になります。

私は神奈川県庁では税務部門にいましたが、窓口では憲法など権利の問題から政治への不満や他部署の無駄遣いの問題など負担を求める現場では全庁的にきちんとできているのかが住民から問われます。
現場で私も住民と向き合い悩んだことが、もっと広く学ばなければと夜間の大学院に通う、政治の世界へ向かうきっかけにもなりました。

担当課室から見れば、補助事業削減は正しいという狭い眼鏡では市民は納得しません。きちんと大義を示せないようなものでは、市民だけでなく現場の職員にも不幸です。
今後の議論でも市民感覚、市民の皆さんとの情報共有、意見募集をしながら行財政改革に向き合っていきたいと思います。ご意見をお待ちしています。

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この記事を書いた人

つまがり俊明

1977年6月生れ / 船橋市出身 三咲小→御滝中→鎌ヶ谷高校→明大→ベンチャー企業→総務省→神奈川県庁→松下政経塾→船橋市議会議員

~多様性を力に変えていく社会へ~ モットーは「着眼大局着手小局」