1.視察概要
半田市は人口11万人醸造や開運で栄えてきた知多半島の中心地域と言われています。
ミツカンのポン酢の本社もあります。5つの中学校(小学校は13校)があり、中学校区に1つずつ合計5つの総合型地域スポーツクラブがあります。
中でもNPO法人ソシオ成岩(ならわ)地域スポーツクラブが部活動の地域移行を他自治体に先行して行ってきたことで著名です。全国からも取り組みが注目され年間5,6件視察が来るとのことです。
来年度から土日の部活を廃止し、土日の活動を希望する子ども達はクラブを活用するという方針を示しています。しかし平日の部活でやっているスポーツ、例えばサッカー部の子がいても、土日のクラブでサッカークラブが開設されるとは限らないとのことです。
部活動の地域移行というよりも土日に何をやるのかは子ども達が主体的に選択をしていくという考え方です。親は部活に通って欲しいが、子ども達のニーズは友人との関係、もっと勉強したいなど様々であるためとしています。
経営については、現在は運営補助のようなものは無いが、当該クラブ施設の指定管理をNPO法人ソシオ成岩地域スポーツクラブが担っています。それ以外は会費の中で運営がされています。この指定管理料が収入の安定化につながっているとのことです。今後市としてはこのクラブで活動する団体を支援する助成制度や他の4つのクラブ運営法人への助成制度も検討中とのことです。
子ども達のスポーツの指導が善意のボランティアで行われてきた歴史があり、指導者に適切にお支払いをするという習慣に変えていきたいとしている。指導者・保護者ともに馴染まないが、公費も含めてきちんと支払う、無償では続かないことを皆が理解していくことが大切ではないかとの意見もありました。
スポーツを広げるという役割と強いチーム・個人をつくるという競技性との板挟みにならないのかという質問も出ましたが、「私達の役割はスポーツの裾野を広げることにある」と言い切っていたのが印象的でした。すべての部活動を地域移行にすることが目標ではなく、自分たちがやっていることは部活動改革であり、子ども達の主体的な選択や学びを大切にするというスタンスが明確でした。
ただ活動成果の発表の場としての試合や大会への参加については、学校以外にも緩和されるように各種体育団体に働きかけているところとのことです。現在は大きな大会は平日開催で問題は起きていないが今後の課題とのことでした。
2.所感
生涯スポーツの入り口としての部活と競技性を高め進路につながる部活という両面性があるものを学校現場の苦労のもとに何とかやってきたということをあらためて感じました。
部活を完全にそのまま地域移行することは困難であり、地域移行できるものもあれば、できないものもあるという割り切りもある種新鮮でした。部活も子ども達の選択肢のひとつだという事であり絶対視するものではないということです。
船橋市の地域総合型スポーツクラブの利用者の多くがシニアとなっており、船橋市の現状とは異なっています。ただ小学生の頃からスポーツクラブを利用し、社会人になればレクレーションや友達づくりとして、シニアになれば健康づくりとして生涯活用していく生涯スポーツにつながる動きになれば、これはこれで意義が深いです。どうしても多くの人が学校を卒業すれば、終わりがちであったスポーツ文化に風穴を開けて行く可能性も感じたところです。
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