先日、野田市で起きた痛ましい虐待死事件について懲役16年の厳しい実刑判決が下されました。これらの事件を教訓に全国的にもスクールロイヤーと言われる外部の弁護士を活用しようということが進められています。今議会の予算委員会での会派代表討論にて私も触れさせていただきましたが船橋市でも来年度からの導入に向けて一歩一歩準備を進めています。
1.スクールロイヤーとは何か
「スクールロイヤーとは、学校で発生するさまざまな問題について子どもの利益を念頭に置き、法律の見地から学校に助言する弁護士を指します。(中略)スクールロイヤーとして弁護士を活用すれば、解決に道が開けるほか、教員の負担軽減につながると考えられています。」(https://www.kyoiku-press.com/post-208484/ より抜粋)
野田市の痛ましい事件を受けて千葉県内ではこのスクールロイヤーの導入が進められてきた。船橋市でも学校問題に精通した2名の弁護士を有する事務所と契約し、次のような役割を担ってもらう予定です。
- いじめやSNS問題の法的側面からの予防教育
- 学校の法的相談
- 教育委員会からの法的相談
- 調査の検証、分析、助言
2.相談の専門性がますます求められる学校現場
児童生徒・保護者ニーズの多様化、教員の若年化・多忙化の中で児童生徒・保護者の相談に充分に対応できていなケースや教育現場負担も重くなっていることが言われている。船橋市では市独自に1校に1人スクールカウンセラーという心理の専門家を配置してきた。
相談総数は小学校で16,139件、中学校では6,307件となり、相談者の内訳としては、次のような状況である。
- 小学校
- 教職員7154件数
- 児童5109件
- 保護者3876件
- 中学校
- 教職員2779
- 児童2335件
- 保護者1193件、
現在、さらにスクールソーシャルワーカーという社会福祉士の資格を持った職員が、福祉資源を児童生徒や家庭につなげる役割の拡充も図っている。
3.今後の課題は
今回のスクールロイヤーの導入は学校や教育委員会が法の下に毅然とした対応をしていくという点では良い面がある。一方でこの制度導入を私の周りの保護者に話した際には「学校と保護者の間に入って仲裁してくれるのか」という期待の声が広がった。実態はあくまで学校側に立って法的なアドバイスを行うものである。
私たち議員のもとに、いじめや学校内のケガやトラブルや障がいのある生徒への不適切な対応など多くの相談が寄せられている。学校現場を経験した教員が主となり構成される教育委員会は教育現場に精通している反面、どうしても学校現場の対応を支持する立ち位置になりがちと言われている。
多くの保護者も各地の報道を見ており、残念ながら教育委員会に仲裁機能を期待していない。スクールロイヤーは学校の立場に立って働いていただいて良いのだが、それとは別に保護者が学校の諸問題について相談できる第三者的な機関を設けるべきである。現状は相談内容によって教育委員会でも部署が分かれておりワンストップでの対応に転換していくことを求めていきたい。