船橋市職員の懲戒処分:2分早退のタイムレコード代理打刻

1.不祥事と処分の概要

3月10日の市記者会見後に報道された内容が分かり易いですが、

各種報道の要点をまとめると次のとおりです。

  • 生涯学習部の職員4名が、早退するにも関わらず正規の勤務時間を欠けることなく勤務したように記録を残すため、他の職員に退勤時の打刻を代理で行わせていた。
  • 勤怠管理を行う立場である課長補佐級の職員については、2019年5月~2021年1月に計316回行われていた。
  • 勤務時間終了時刻の直後に出発する路線バス(5時17分)に間に合うよう、職場を2分早く退勤
  • 職員から仕事上の相談を受けている中で、勤務時間終了前に退勤している職員がいるとの話が出て明らかになった。
  • 早退していた職員4名は2分相当の給与額を返還。加えて、課長補佐級の職員については3か月間、給与の1/10を減額する懲戒処分として、他の3名については文書による訓告等。早退していないが代理打刻のみを手助けした者4名も口頭での厳重注意とした。

これらの報道に対して、様々な意見が寄せられ、Twitterでもトレンド入りするという不名誉な注目も集まりました。意見の主な観点は「処分の妥当性(甘い、厳しすぎる)」と「より柔軟な働き方ができないのか」というものでした。

こちらの記事やそれに対するコメントがよくまとまっています。

私の元にも、直接多くのご意見をいただき、市長をはじめ幹部職員、議員が出席する予算委員会全体会でも取り上げさせていただきました。

・「給与は税金で賄われていることがわかってないのでしょうか」
・「私も市役所に手続きするのに有給を使って行く訳ですよ。私達も1分がとても大事。」

・「年に数回程度なら人情的に、しょうがないとなりますが、300回とほぼ毎日は悪質。身内の処分に甘い」
・「その部署全体の職場風土も大きな問題。」

という厳しいご意見です。

そして

・「フレックスタイム制にすれば良い」
・「定時を2分早めることができるようにしましよう!制度をちょっと変えるだけで解決するならハッピー」
・「3分早出していることもある。サービス残業がなかったかも確認してもらいたい。」

といった働き方自体に関する内容です。
これらの意見をいただき、委員会質疑にのぞみました。

2.文教委員会での主な質問内容と回答

文教委員会に報告がありましたが、全庁的な問題だと感じました。

まず3月12日㈮に文教委員会に本件について報告があり、質疑を行いました。
動画はこちら→
https://funabashi.gijiroku.com/g07_Video_View.asp?SrchID=5442(9:19~26:57)
その概要は次のとおりです。

  • 何をきっかけに明らかになったのか。記者会見は?
    • 職員から。3月10日午後に記者会見を行った。
  • 市の信用を失墜させることで重大。なぜこの懲戒処分が適当なのか。過剰な処分と見られるとどうなるのか。
    • 職員懲戒等審査会にて2月に審査。3月4日に答申をもらい3月9日に処分を実施。処分の程度については人事院の指針、他市の事例を参考にして決定している。人事院の処分標準例、遅刻・早退は戒告とされているが、総合的に判断し、標準より重い減給とした。
  • 詐欺罪など刑法犯には当たらないのか。
    • 市の顧問弁護士とも相談し、刑法犯としての告発よりも懲戒処分が妥当だと判断した。
  • もっと柔軟な働き方はできないのか。
    • 令和元年6月、変則勤務制度を導入、30分おき。本件ではバスも30分おき。
  • 15分おきにはできないのか。
    • 可能性が無いかと言えばそうではない。
  • 責任ある立場の人が部下に不正を強要したのではないか。
    • 強要とは感じていない。頼まれたからやったという反応が大半であるが職務命令と感じた者もいた。
  • 調査はしているのか。他の事例は無いという確認をしているのか。
    • 全庁的な訓示をする通知を出している。

3.予算委員会での主な質疑と回答

教育委員会での不祥事ですが、そもそも生涯学習部の職員は市長部局にて採用され在籍していた行政職も多いです。文教委員会では教育委員会の状況しか確認できなかったため、3月18日㈭の予算委員会全大会にて質疑を行いました。
動画はこちら(3月22日以降にアップ予定)→https://funabashi.gijiroku.com/g07_Video2_Search.asp

その概要は次のとおりです。

  • 戒告相当であるが、管理職の立場にある事、日頃の勤務態度は良好であることなどを総合的に考えより重い減給処分としたとのことである。だが市民からは厳しい意見もある、より重い処分を行った際に、処分の取り消しを訴えられるケースが民間でもあると聞くが、本市でも過去に重い処分を行って取り消されるような事例はあったのか。
    • 過去に事例はある。処分を受けた者が処分内容に不服があるとして、外部の弁護士で構成される準司法的機能がある公平委員会に審査請求をした。審査の結果、行った処分の内容では重いとして、原処分を修正する裁決が出された事例がある。
  • 他にこういった事例はないと断言できるのか、まずは総務部が音頭を取って実態調査することが必要ではないか。
    • 3月10日に各所属長に対し、同様の事案が生じないよう所属長から直接口頭で訓示し、その徹底を図るよう通知している。その後16日にはあらためて各所属長に調査を命じたところである。
  • 変則勤務制度は、主に4パターンしかなく30分単位である。15分単位にする、また夕活なんかも言われる中、より柔軟な勤務の仕方を検討することも必要ではないか。
    • さらに細分化することについては、勤務体制を管理する面からも現時点では直ちに見直すものではないが、今後も社会の状況や他市の動向など注視しつつ、研究する。

4.所感

こういった不祥事については原因分析や再発防止、個人の資質よりも組織全体の問題という視点で向き合ってきました。今回の案件は公務員経験のある私からしてもおかしいと思いました。

当初は調査をしていなかった事もこの問題を重大と捉えていたのか疑問の残るところもあります。特にSNS上で厳しい意見をいただき、積み重なった強い行政不信も感じます。

コロナ禍で生活や事業が追い込まれ、我慢を強いられている中で、行政も政治もより市民の見方は厳しくなっています。より気を引き締めていく必要があります。

そして何より、本当の意味で「市役所=市民のお役に立つ所」と感じていただけるようにならなければいけないと思います。もちろん市民はお客様ではありませんし、税金を払っているから何でもやって良いという考え方には与しません。市民全体の利益のために、個人エゴのために公を使うような話には毅然とした態度も必要です。

職員の働く環境が改善されることが市民のためにより働く職場となることにもつながるとも思います。在宅ワークなどより柔軟な働き方を私は進めてもらいたいと思っています。

それがより優秀な人材確保にもつながります。しかしその議論を進める前提としてしっかりとした勤怠管理を求めますし、職員1人1人の自律的な働き方が求められています。

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この記事を書いた人

つまがり俊明

1977年6月生れ / 船橋市出身 三咲小→御滝中→鎌ヶ谷高校→明大→ベンチャー企業→総務省→神奈川県庁→松下政経塾→船橋市議会議員

~多様性を力に変えていく社会へ~ モットーは「着眼大局着手小局」