特別支援教育について語り合う@Zoom

ざっくばらんに意見交換ができる場の大切さをあらためて感じます

1.概要

5月22日、三障がいの垣根を越えて、地域で包容しようと特別支援教育に関するオンライン意見交換会を行いました。障がいの当事者、ご家族、支援者が集いました。

冒頭、私のほうからは昨年から行っている、障がい者グループホームの夜勤と日中一時支援(※1)での経験についてお話しさせていただきました。1時間の予定でしたが意見交換が尽きず、2時間にわたる活発な意見交換の場となりました。

※日中一時支援:障がい者の日中活動、休息を目的に、見守りや集団生活に適応するための訓練などの支援を行うもの。大人の学童のようなイメージ。

2.主な意見交換と問題提起

  • 教育現場での教員からのきつい叱責や力による支配がされていないか。
    • 障がいへの理解や基本的な対応を知らない先生がおり、力で押さえつける現状を感じる。
    • 担任や支援員の先生が1年間でコロコロ変わる。6年間で9人ということもあるのは困る。
    • 自分が何をしたいのか人に伝えていく力を磨く場が特別支援教育であり、それを引き出す力を支援側には磨いて欲しい。
    • 学校のせいで辛い目に合っている子供も多いと思うが、先生たちが頑張って障がいのある児童生徒と向き合っている学校もある。
  • 小学校で起こっている問題が何年たっても解決されない。
    • 学校に関する意見箱、学校ポストというようなものが必要ではないか。
    • 投じた意見がどんなプロセスでどう対応されているのか可視化が必要ではないか。
    • 特別支援学級をはじめとした障がい児・障がい者支援のメニューの可視化が必要ではないか。ホームページなどプラットフォームが欲しい。
    • アウトリーチは大切だが、障がい受容のタイミングというのも大切。
    • 1992年から活動しているNPO千葉子どもサポートネットでは全県下で対応をしている。不登校、障がい、いじめや学校のことなど幅広くこどもにまつわる相談ができる。

NPO法人 千葉こどもサポートネット | 千葉市民活動支援センター

  • 自立のタイミングをどう考えるのか?
    • 突き放しになってはいけないが、小さい頃からだと思う。完全自立ではなくその人なりの自立であり、自律を目指すと考えてはどうか。
    • 障がい者を支援する多様な社会資源がもっと当事者に伝えるように行政はPRするべき。
  • 兄弟会は無いか
    • 育成会でもそういったものがあったほうが良いという話が出ていた。
  • 育成会とは何か
    • 船橋市手をつなぐ育成会という知的障がいのあるお子さんを持つ親御さんが中心となって立ち上げてきた60年続く組織のこと。

船橋市手をつなぐ育成会【S0270】

3.所感

学齢期の子どもを持つ身ということもあってか、学校現場にまつわる多くのご相談をいただきます。多くの先生方は多忙な中で一生懸命子ども達に向き合っていると思いますし、保護者も「先生たちは忙しくて大変」という言葉が出てくるほど教員の多忙さは浸透していると思います。

一方で子どもを「預けている」親からすると、ある種「人質」にとられているような感覚があると聞きます。つまり、こう変えて欲しいというと改善要望というよりもクレームと捉えられてしまい、我が子が嫌な仕打ちに合うのではないかと思い、ぎりぎりまで我慢するということにつながります。

学校現場ではそういった意図は無いと信じていますが、それくらい学校側が強い立場にあるということへの自覚は必要かと思います。特別支援教育を受けているお子さんであれば、親御さんの気持ちも尚更です。

2次産業を中心とした工業社会では同じ生産ラインに並んで皆と一緒の作業ができることが大切でした。ですから教育においても平均的な人間を作ること、集団行動が重要視されてきたと思います。ですが、安い工賃によって途上国から追い上げられる日本はポスト工業社会、三次産業を充実させていたくことが社会としてもより重要になっています。

その中では凸凹を平たんにするのではなく、良いところを引き出すのがその子のためにも社会の為にも良いはずです。本来あるべき特別支援教育というのはそういうものではないでしょうか。もっと言えば、教育全体がそのように変わっていく必要があるではないでしょうか。特別支援教育には人間の見方、私たちの社会を変えていく大きな可能性があります。

そしてどんなに良い支援があっても、必要とする当事者やご家族がそれを知らない、たどり着けないのでは意味がありません。親御さんが必要だと思った時に情報を取りに行ける、分かり易いプラットフォームが必要です。情報化社会では情報はあふれていますが、検索しやすい、アクセスしやすい、親しみ易いデザインということがより大切です。

また今回のような当事者間の交流というのも情報や思いを共有し、日頃の悩みを話して肩の荷をそっと下ろせる場としても必要です。障がいのあるお子さん達のことについてはあまりにもお母さん達が負担を背負い過ぎています。もっとお父さん達も関わる交流会、兄弟児も含めた交流の場、家族全体を包容して支援をしていくことの必要性も今回見えてきました。

人は集団の生き物です。誰しも一人では生きていけません。
時に応援してもらい、時に応援する。
地域の中で補い合う関係性を強くしていきたいと感じる、意見交換会でした。

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この記事を書いた人

つまがり俊明

1977年6月生れ / 船橋市出身 三咲小→御滝中→鎌ヶ谷高校→明大→ベンチャー企業→総務省→神奈川県庁→松下政経塾→船橋市議会議員

~多様性を力に変えていく社会へ~ モットーは「着眼大局着手小局」