市独自に福祉職への支援を
「ケアマネージャー」(以下、略称ケアマネ)あるいは「介護支援専門員」という言葉を聞いたことがありますか。
介護が必要になった際に、本人やご家族の相談を受け、ケアプランという介護の計画を立て、関係機関との調整を行う役割を担う、 まさに介護の要ともいえる存在です。

しかし市の調査によると、市内事業所の6割以上がケアマネ不足を訴えています。
市の地域包括支援センターに介護相談が寄せられても、対応しきれずに外部の民間事業所に振り分けざるを得ない状況があるのですが、そこでもケアマネが足りず、受け入れが困難という声が多く聞かれます。結果として、何十人待ちという状態が生じています。
この背景には、資格の厳格化や更新・研修の負担増といった制度改正があります。
また、介護士の処遇改善を目的とした国の補助制度によって、現場経験者が取得するケアマネ資格の給与が逆転する事態も起きています。志だけでは人材確保が難しい中、自治体独自の支援が求められます。
実際、他市では給与や資格取得費用において船橋よりも手厚い補助が行われています。制度の矛盾の是正は本来国の責務ですが、現場に近い自治体での取り組みも重要です。
船橋市も一部支援を始めましたが、まだ十分とは言えません。例えば私が市議1期目の時には、担当部署の方々に奮闘いただき、訪問看護師への月額15,000円の賃金支援制度が実現されました。周辺市や過去の実例も踏まえて、福祉職への思い切った支援を行っていく必要があります。

福祉事業者、福祉産業を「育てる」

船橋市は中核市として、県に代わって市内の福祉事業所への指導や監査を行う立場にあります。本来であれば、現場に寄り添った対応を通じて、より良い福祉環境を築いていくことが可能です。
ところが現場の声を聞くと、必要な指導がないまま、突然の監査で公金の返還を求められ、経営が不安定になっているという実情があります。その結果、船橋での事業継続を諦め、他市へ移転するケースも出ています。
もちろん、公的資金を使う以上、適切な監査は欠かせません。ただし、市の職員は人事異動により担当者の専門性が十分でないこともあります。事前の注意や指導がないまま厳しい対応をされると、事業者側に不信感が生まれてしまいます。
多くの福祉事業所は努力して何とか運営を続けています。サービスが継続できなくなれば、最終的に困るのは市民です。事業者を「育てる」という姿勢が求められています。

つまがり市政ビジョン 民間の皆さんは大切なパートナー


私はこれまで、看護や訪問介護、高齢者施設、保育、放課後デイサービスなど、さまざまな福祉の現場に足を運ばせていただきました。
また、コロナ禍の際に、障がい者グループホームで、週1回夜勤の世話人として1年間現場に入りました。その中で感じるのは、行政が現場の実情をよく理解しておらず、民間の方々がそのことに強い不満を持っているということです。ただ、行政は補助金などを出している立場なので、「文句を言えば不利益があるかもしれない」と、声を上げづらい雰囲気もあります。
一方で、行政側は自分たちが力を持っていることを自覚しておらず、福祉現場との信頼関係が弱まっている面もあります。民間の福祉事業者を単なる「業者」として見るのではなく、市民を一緒に支える「大切なパートナー」として向き合う姿勢が必要です。


